お酒とセーターと
セーターを着ると、父を思い出す
「俺のとっくりどこ?」と肌寒い朝に言っていた
朝からお酒のこと考えてけしからん!
と思っていたけれど、ここでいう「とっくり」はタートルネックセーターのこと
「タートルネックセーターを徳利と呼ぶと世代がわかる」なんて言うけれど
まぁそうだろう、若い女の子がお洋服屋さんで
「この徳利セーターめちゃくちゃ可愛いんだけれど~!」 なんて言ってる姿は見たことがない
もし見かけたらちょっと好きになりそう
お酒の器で知られる徳利は、
【首の部分が細く、下が膨らんだ形の酒器】のことをいう
その徳利にタートルネックが似ていることから、徳利セーターと呼ばれていたそう
タートルネック自体も「亀の首」で例えているのに、さらに例えるってどうなの?
とも思うが、少し妄想したい
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夜がすっかり冷え込むようになった冬の入り口。
セーターを着たどこぞの殿方が、徳利に入った熱燗をお猪口にトクトクと注いでいる時、
あ!
そうそう「徳利」と名が付いたのは
この、注いでいる時「とくりとくり」と音がするところからも、名づけられたと言われているそうな(諸説あり)
もとい
殿方が、「ん?この形は何かに似ている、、、おお!このセーターじゃないか!徳利セーターだ!おーい!母さん母さんすごいことわかったぞ!」
とほろ酔いでドヤ顔している、月が綺麗な夜
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酒器は徳利だけじゃなく様々なものがある
代表的なものだと、酒の場で「お銚子一本ちょうだい!」と言うのを聞いたことがある人も多いだろう
この「銚子」本来は徳利のことではなく、長い絵のついた酒器のこと
徳利と器としては別物である
そしてお酒以外の楽しみも近年多い「片口」
お酒を温めるための錫や銅で作られる「ちろり」
賑やかに気持ちよくお酒を飲めれば、酒器の形なんぞお構いなしとなっているかもしれないが、
ワイングラスやビールジョッキとは違い、ちまちまと注ぐ日本の酒器は日本人の古き良き奥ゆかしさを感じずにはいられない
冒頭に戻るが、そんな父は夜になると「俺の徳利どこ?」と言っていたっけな

信楽 大原拓也さんの片口 https://sonotoki.theshop.jp/items/61236215
艶やかな藍色と刷毛目模様が美しい逸品