日本六古窯ってなんじゃらほい
日本には器の産地がたくさんあります
その中で六つの産地が「日本六古窯」(にほんろっこよう)と呼ばれ
平成29年「日本遺産」に認定されました
◆六つの産地とは?
日本六古窯は、古来の陶磁器窯のうち、 中世から現在まで生産が続く代表的な六つの産地
・越前
・瀬戸
・常滑
・信楽
・丹波
・備前 です
この六つを総称して「日本六古窯」と呼ばれています
それぞれどんな魅力があるでしょう
◆越前焼
福井県越前町で作られる焼き物です
越前焼は、壺・甕・すり鉢の3器種を中心とした生活雑器や、 経筒・骨壺などの宗教的用途としても使用されていました
越前焼に使われる土には鉄分が多く含まれ、耐火性も強いため、 表面が赤黒・赤褐色の焼き上がりとなり、土が焼き締められました
このため越前焼は水漏れがしにくく、水や酒・藍染等の染色液の保管に使われたほか、 穀物の保存・貯蔵といった用途でも使用されていました
◆瀬戸焼
愛知県瀬戸市で作られる焼き物です
陶磁器全般を「セトモノ」というくらい、焼き物の代名詞になった瀬戸焼 日本の中でも珍しい、陶器も磁器も焼かれる産地です 陶器では「赤津焼」に代表される釉薬を駆使した装飾が特徴で、 磁器では「瀬戸染付焼」に代表される呉須と呼ばれる顔料を使った青色が美しい絵付が特徴です

*伝統の「馬の目模様」
◆常滑焼
愛知県常滑市で作られている焼き物です 常滑といえばあの朱色の急須!見たことがない方はいないくらい常滑の急須は有名です
通常の陶磁器造りでは、粘土に鉄分が含まれていると焼成で黒くなったりしてしまい 扱いが難しいとされてきました
常滑焼はその弱点を逆手に取って、あの急須の色の焼き物を作ることに成功した産地です
また、有名なのは急須だけじゃなく、招き猫の産地としても日本一です
◆備前焼
岡山県備前市で作られる焼き物です
堅くて割れにくいため、多くの茶器や茶陶として愛用され、庶民の日用品として親しまれました
備前焼は、「釉薬(うわくすり)(※)」を一切使用せず、絵付けもしないという究極にシンプルな焼き物
1200〜1300度の高温で焼き、土の性質や、窯への詰め方、窯の温度の変化、焼成時の灰や炭などによって模様が生み出される「焼締陶器」 一つとして同じ色、同じ模様にはならない、手作りの味わい深さが魅力で、使えば使うほどに味わいが増していくのも特徴です ※素焼きの陶磁器の表面に塗る薬品
◆信楽焼
滋賀県甲賀市で作られている焼き物です
「他を抜く」として商売繁盛の縁起物になったあのお狸さんの産地です 粘り気のある良質な土が特徴で、すり鉢など小さい物から浴槽などの巨大なものまで 幅広く作られてきました 備前焼同様に焼締陶器であり、焼成によって生じる変化が魅力です 人の手で100%コントロールできない、土と火が生み出す美しさを味わうことができる焼き物です

◆丹波焼
兵庫県丹波篠山市で作られる焼き物です
「特徴がないのが特徴」と言われることもある丹波焼
それは様々なん魅力を持ち合わせているから、一重にこれが丹波焼!と言えないことにあると思います
伝統的な丹波焼では、素朴で味わいのある焼き物や比較的重みを感じる器が多く、 色や形などに決まりはありません
陶土は、多くは三田市で採れる四ッ辻粘土と、篠山口駅周辺で採れる弁天黒土を採土・精製して使われています
現在丹波焼だけのものではないですが、丹波焼の特徴としては、「しのぎ(鎬)」と呼ばれる陶芸技法もあげられます
しのぎは、丹波焼の伝統技法で、器の表面を削って稜線模様を施すことです 熟練された職人が一つ一つつけていくしのぎの模様にはうっとりです

*雅峰窯のしのぎプレート
ここで紹介した特徴はほんの一部です
それぞれの産地、焼き物に良さがあり、どれが一番ということはありません
その伝統や歴史は素晴らしいものですが「六古窯だからいい」ということもありません ここに挙げていない産地の良さも話し出したらキリがないほど
少しずつ紹介できればと思っています
見た目の美しさも大事ですが、産地や歴史を知るとまた一つ
器に思いが入るはず
器を手に取る時
その背景もぼんやり頭に浮かべながら手に取ったら
いつもの器選びがもっと楽しく、温かいものになることを願って